◇木星(Jupiter)を撮る
 最も視直径の大きな木星でさえ最大50倍でしかないフィールドスコープでは芥子粒に毛が生えた程度のものだ。目一杯高倍率で撮っても悲しいほど小さな画像しか得られない。唯一無理なく納めることが出来るのが木星とガリレオが発見した4個の衛星。おそらくガリレオも大差のない姿を自作の望遠鏡で見つめたことだろう。

撮影した2009/08/27 21:11時点での配列はイオ・木星・ガニメデ・エウロパ・カリストの順
2009/08/27 21:11 Kowa TSN-824M + TSE-9W(50xアイピース),CASIO EX-Z850
 ISO50・WB:蛍光灯(昼光色)・f=7.9mm・Mode:M(F2.8・1/60sec)・AF・トーンカーブ・トリミング・リサイズ

 ノイズを無視した高感度と最大倍率で木星を捉えてみる。取り付けたデジカメのズームをテレ端にすることで5700mm相当の114倍までは稼げるが、それでも画面全体からすれば点の延長でしかない。大気の影響ももろに受けるので、輪郭も歪になってしまった。

オリジナル画像(リサイズ)
800万画素のオリジナル(3264x2448pixel)を
約1/10の320x240pixelに縮小

核心部の等倍切出
800万画素のオリジナル(3264x2448pixel)の
中心部(320x240pixel)をトリミング
2009/08/19 20:53 Kowa TSN-824M + TSE-9W(50xアイピース),CASIO EX-Z850
 ISO50・WB:蛍光灯(昼光色)・f=23.7mm・Mode:M(F5.1/20sec)・AF・トーンカーブ

 等倍に切り出してもISO400で撮った画像はノイジーそのもの。おまけに大気の影響で輪郭もガタガタとなってしまう。木星の特徴を為す縞模様こそ確認できるが、ちょっと悲しい画質だ。
 そこで、連続撮影した複数枚の画像を重ね合わせることで平均化する「コンポジット」を行ってみる。
オリジナル(最良カット) 2枚コンポジット 4枚コンポジット
8枚コンポジット 16枚コンポジット 32枚コンポジット
2009/08/27 19:48 Kowa TSN-824M + TSE-9W(50xアイピース),CASIO EX-Z850
 ISO50・WB:蛍光灯(昼光色)・f=23.7mm・Mode:M(F5.1/25sec)・MF・トーンカーブ・等倍切出
  親愛なるsuikan氏によれば信号処理の見地からするとn枚のコンポジットによるノイズの現象は1/√nだそうだ。ならば16枚コンポジットではオリジナル比でノイズは1/4に減少することになる。デジスコ用に使っているデジカメCASIO EX-Z850の弱点はISO100以上でのノイズだが、動きの激しい野鳥と異なりじっくり連写できる天体分野ではコンポジット処理が福音となりそうだ。


RegiStaxで34枚をコンポジット。
縞模様が一段と冴えてきた

53枚のコンポジット。憧れの大赤斑が見えてきた。

◇他の惑星を撮る
 フィールドスコープで無理なく捉えることの出来る惑星は、前述の木星を筆頭に金星・火星・土星。  水星も金星のような欠けた様子を確認できるが、観望高度が低く大気の影響をもろに受けてしまう。  天王星や海王星は観望こそ可能だが、表面の模様までは確認できない。撮影対象としては尚更難しい。

金星(Venus)
2010/12/10 05:40
ISO50 1/200sec 8枚コンポジット

火星(Mars)
2010/01/28 22:30
ISO200 1/40sec 16枚コンポジット

土星(Saturn)
2008/05/07 20:26
ISO200 1/4sec 12枚コンポジット
<共通データ:Kowa TSN-824M + TSE-9W(50xアイピース),CASIO EX-Z850 WB:蛍光灯(昼光色)・f=23.7mm・F5.1・等倍切出>



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