倍率って何なの? |
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以前ブログ(撮鳥見鳥)でも取り上げたけど、野鳥撮影中などに「それって何倍?」と撮影機材について聞かれることがある。鳥を撮ってみたくなった人から「10倍ズームのデジカメなら撮れるの?」などと聞かれることもしばしば。 この何気なく使っている「倍率」の概念、使われ方が案外あやふやなので、この際写真撮影に関する「倍率」についての考え方を整理してみた。 1.一般的な倍率の概念 肉眼で見る対象の大きさを1とした際の大きさ比率が一般的な「倍率」の概念。さらにわかりやすく考えると、倍率が10倍なら本来10メートル先にある対象物が1メートルから見たのと同じ大きさに見えることになる。 これをカメラレンズの倍率に当てはめるとどうなるか。例えば35mm一眼レフだと焦点距離50mmレンズの倍率がおおむね肉眼と等しい1倍とされている。焦点距離が4倍の200mmレンズなら倍率も4倍、500mmだと10倍と考えることができるわけだ。イメージセンサーの大きさがAPS-C相当の一般的なデジタル一眼レフだと1倍相当の標準レンズが30~33mmとなるため500mmだと15~16倍となる。さらにフォーサーズフォーマットを採用したデジタル一眼レフでは35mmフォーマットの2倍もの倍率が得られる。すなわちこのことこそ、野鳥など高倍率が求められる撮影シーンで小さめのフォーマットが受け入れられる理由でもある。 計算式:[使用レンズの焦点距離]÷[そのフォーマットでの標準レンズの焦点距離]=[倍率] フォーマット別 10倍を得るための計算式
2.ズーム比 4倍ズームや10倍ズームなど、レンズ交換式でないカメラで表記されている「倍率」の正体がこれ。撮影レンズの望遠端を広角端で割った数値が用いられている。例えば焦点距離が7.9~31.6mmのレンズなら4倍と表記されている。 だが、この「倍率」を前述の一般的な概念である「倍率」と考えると落とし穴にはまってしまう。なぜならズームレンズ付きカメラのほとんどは基準となる広角端が文字通り広角レンズ(35mmフォーマット換算で28~38mm前後)なので、ユーザーがイメージする倍率には到底達しないからだ。広角端が35mmフォーマット換算で38mm相当の4倍ズームと称されるコンパクトデジタルカメラの望遠端で実質的な倍率を計算すると3倍程度となる。最近増えた超広角28mm相当を謳う機種など、4倍ズームと言っても望遠側の実倍率は2.24倍にすぎない。さらに付け加えるならば、17-40mmズームを取り付けた35mm一眼レフの場合、ズーム比は2.35倍だけど望遠端の40mmは望遠どころか準広角と言うべき焦点距離。 う~ん、消費者のミスリードを避けるためにもカタログや店頭の表示は「ズーム比○倍」と表記すべきだと思うのだが・・・・ 3.マクロでの撮影倍率 マクロ、すなわち近接撮影で用いられる「撮影倍率」とは、撮影対象の実寸と写し込まれるイメージセンサーやフィルム上での結像サイズの比率を指す。例えば直径2センチのコインがフィルムまたはイメージセンサー上で1センチなら0.5倍、原寸大の2センチなら撮影倍率は1倍(等倍)となる。つまり撮影倍率が高いほど「寄れる」レンズと言うことだ。等倍まで寄れる50mmマクロレンズと100mmマクロレンズの最短距離で撮影したコインの大きさは、レンズの焦点距離や被写体までの距離の差に関係なく1倍(等倍)となる。 等倍撮影が前提のマクロレンズは当然として、一般の交換レンズでもこの撮影倍率はカタログ表記されている。同じ焦点距離のレンズで購入に迷ったなら、明るさや価格だけでなく最大撮影倍率で比較検討するのも有効な選択手段と言うことだ。 ところで撮影倍率は倍率で表記するメーカーと○:○と比率で表記するメーカーがある。等倍すなわち1xは比率表記で(1:1)、0.5xだと(1:2)、02.xでは(1:5)となるが、なんとなく後者の方が直感的にイメージし易く感じられる。 |
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2008-01-27 2008-01-31 一部訂正&加筆 2009-10-17 加筆 |
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